大会2連覇を目指して迎えた初戦の相手が青い巨人キックス。
いきなりの難敵を迎えてしまったわけだ。
さらにキックスには3月までミスズに在籍していたレントもいる。
優勝旗を持って帰りたい・・・
トロフィーも欲しい・・・
えっメダルまであるのか・・・
こっこれは、燃えずにいられない・・・

メダル獲得に向けてやる気まんまんの選手達

ハルアは完全に歌舞伎役者モード。
どこで覚えたのか、いわゆる「見栄を切る」ってやつだ。
でも、なんといってもユウキの上目遣いに凄みを感じる。
こっこれは怖い・・・

この意気込みが空回りしなければいいけどな・・・
嫌な予感が頭をよぎる。
そんなボクの不安を置き去りにして試合開始の笛が鳴る。

そして、その不安が見事的中してしまうのだ・・・

試合開始から自分のポジションを忘れて
ボールに吸い寄せられていく選手達。
がっつきすぎて簡単に剝がされてしまう。
マイボールになっても、意図もなく慌てて蹴る始末。
全体的にギクシャク、ギクシャク。
アタフタとしている間に、あっという間に先制を許してしまう。

失点してしまったことで、少し落ち着きを取り戻したかのように思えたが
この後、最も恐れていた事態がミスズを襲う・・・

なんと自陣PA内でレントにどフリーでシュートを打たせてしまったのだ。
ミスズの守備陣、GKヒロト、右サイドバックのリト、左サイドバックのハルアの3名は、レントがミスズに在籍していた頃、練習の最後に必ず行うミニゲームでレントの左足から放たれたボールを何度も『みぞおち』に喰らっていた過去を抱えている。

みぞおちにボールが入ると大人、子供関係なく悶絶必死となる。
呼吸がまともにできない・・・
とにかく苦しい・・・
そんなトラウマを抱えた3人・・・

レントがシュート体制に入った時点で既にヒロトは腰が引けてしまったいた。リト、ハルアは、ただ、ただ、立ち尽くすしかなかった・・・

コースは甘かったが、6年生になって更にパワーアップしているレントのキック力の前に、ヒロトは手を伸ばすのが精いっぱいだった・・・

そこからは失点を重ね、終わってみれば0-7で敗戦。

ミスズの2連覇への儚い夢を・・・
選手たちのメダルへの想いを・・・
ケーブルテレビの優勝インタビューへの憧れを・・・

レントの左足が打ち砕いたのであった。

トラウマ・・・